輪廻転生の実例から知る、前世と今世の関係


輪廻転生の実例から知る、前世と今世の関係

一つの魂が、何度も生まれ変わりを繰り返す輪廻転生。輪廻転生の実例は、前世の記憶をたどることで明らかになります。

今回は、ある女性の前世の記憶を鑑定し、輪廻転生の実例を紹介するとともに、前世と今世の関係について説明します。

 

輪廻転生とは

輪廻転生とは、人が一生を終えた後に、再び生まれ変わること。
輪廻転生し生まれ変わるとき、前世で起きた出来事の記憶は忘れている人がほとんどですが、魂にはこれまで生きたすべての前世の記憶が記録されています。そして、前世で起きた出来事は覚えていなくても、出来事にまつわる感情の記憶は今世でも覚えています。

>>詳しくは輪廻転生の意味とは?実例とともに解説 

輪廻転生による前世と今世の関係

輪廻転生の歴史は、私たちの中にいくつも物語として眠っています。前世鑑定をすると、数ある前世のなかから、この人生の「今の感情」と一番関連の強い前世が見えてきます。そのため、自分の心と向き合って内面(心)の整理が進んで行くと、その時に抱えている感情が変化していきますから、見えてくる前世の物語もその都度変わっていきます。

これは、今、あなたが抱えている「感情」が、前世の感情とリンクし続けていることを意味しています。そして抱えている感情が昇華されれば、あなたの潜在意識はまた別の「今の感情」を抱え、その感情と関係する前世を結びます。

輪廻転生の実例

わたしが見たある人の古い前世の記憶を紹介します。

今回、前世鑑定をしたのは、前世でわたしと一度、一緒に生きたことがあるSさん。輪廻転生した今世では、ともに仕事をしています。

今世で出会った頃、ちょうど自分の心と向き合う作業を始めていた彼女。お仕事で疲れきってしまって、生き方がわからなくなった心を慈しむように、向き合っていました。

出会った頃は、簡単に読み解ける前世はなかったのですが、最近はすぐに物語がやってくるようになりました。出会った当初にくらべ、だいぶ内面の整理が進んだからでしょう。

前世は、我慢が続き自分のルーツと切り離され、生き方がわからなくなっている状態だと見るのに苦労します。見えてこないので、見方をあの手この手で変えなければなりません。最初はなかなか見えなかった前世も、今では少し意識を同調させると見えてくるようになりました。

生きる意欲が芽生えた男性 

同僚たちの声がうるさい。

窓の外に見える海に気を逸らしてそのボリュームに自分を馴染ませる。

わたしは今日も静かな気持ちで、彼らの討論を記録している。
白熱する話と反比例するように、わたしの心は落ち着いていく。
彼らは国の何かについて熱心に話している。
わたしは淡々と羽にインクをつけながら薄くなめした皮にそれらを書き取っていく。

 

仕事が終わると記録したものを所定の部屋へ持っていく。
そこでいくつかの手続きをしたら我が家へ向かう。
明日もまたここで同じ仕事をする。

まだ明るい帰り道、家路へ向かいながら心を落ち着ける。
無理に落ち着けずとも、わたしはいつも落ち着いているけれど、ときおり、家で待つ病の妻が思い出されふっと意識が遠のく。

考えても仕方ないことは考えない。

家に着くと美しい妻の眠っている顔を覗き込む。
青白い顔を眺め、起こさないようしばらくベッドの脇で家の空気に自分を馴染ませるように座っていた。

ふと気がつけば日が陰り、家の中は薄暗くなっていた。
果物とオリーブの塩漬けを食べながらお酒を飲んだ。

奥深くに潜む強い悲しみが感じられたが、どうやら飲み込まれずに済んだ。

 

ー妻が死んだ。

夏の昼下がり、意識が朦朧とした妻の手を握りながら、苦しそうな喘ぎ声を聞いていた。
医者がやって来て、何もせずに帰って行った。

妻の痩せてしまった手は、もうわたしの手を握り返すこともない。
長い闘病を思えば、これ以上頑張れとは言えなかった。
わたしにできることは何もない。

妻が亡くなってからしばらく弔いの日々が続いた。
わたしは何も語らず、ぽっかり胸に空いた大きな穴とともにいた。
胸の大穴は時々、わたしを虚しさで飲み込んでしまうのだが、抗えるわけもなかった。
されるがまま、痛みに身を任せて時を過ごした。

どれくらい時間が経ったかわからないけれど、なんとか生きていた。

 

しばらくして仕事をしに職場へ向かった。
わたしは何も感じなくなっていた。
感じない心と体を職場へ無機質に運ぶ。

賑やかな同僚たちの声が、討論の部屋から聞こえてきた。
音はスローモーションで、前方からシャワーのようにわたしの体に降り注いだ。

ふと、凍りついている自分自身を感じた。

わたしは凍っていた。

少し前まで当たり前のように聞き、少々煩わしかったその音はまるで「命」そのものだった。

感情を含み、躍動して、ぶつかり合いうねって、ハーモニーとなっていた。

あぁ、わたしはまるで死んでいたようだ。まだ生きていることを感じる。

凍りついていた!

苦しみをなんとかやり過ごそうと石のようになっていた。

 

音のシャワーを浴びながら部屋へ進む。

硬く冷たくなって行った時間を巻き戻すように廊下を歩いた。

味わうように、音のシャワーを感じた。

部屋へ着くと記録用の黒い羽を手に取り、皮を広げ、同僚たちを眺める。
同僚が一瞬しんと静まりかえり気遣う目でわたしを見た。

「どうぞ、続けて」

とわたしは言って、にっこりと笑った。

笑うと、胸の大穴がズキンと一度痛んだが、その穴を埋めるように生きているという実感が胸に広がった。

生きていこうとぼんやりと思いながら、彼らの話に耳を傾けた。

 輪廻転生で前世と今世をつないだ感情

Sさんの輪廻転生のたくさんの物語の中で、長い内省が終わりに近づこうとしているのがわかる、「生きる」ことへの意欲が伺える物語がやってきました。これは、今世の彼女が、今まさに内面の整理がほぼ終わり、「生きる」ことに意欲を持ち始めた、その感情から呼び起された前世の記憶だからです。

このSさんの輪廻転生の一つの物語の中で、読み手のわたしが最も強い感情を感じたのは最後の「音のシャワーを浴びながら部屋へ進む」ときです。冬、雪の下で耐えた若芽が、春に勢いよく伸びて行くような開放感でした。

無理に生きようとしなくても、諦めず静かに自分の心と一緒にいれば、人生が再び始まっていくことを教えてくれる物語でした。

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